『いくお〜る』誌上の「図書紹介」がウェブにも登場しました! ここでは聴覚障害関連の書籍をご案内しております。

日本語字幕付きのDVD(ビデオ)、聴覚障害者役が出ている作品も少しずつご紹介します。

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BOOK

4月号(No.78)掲載

2月号(No.77)掲載

10月号(No.75)掲載

8月号(No.74)掲載

6月号(No.73)掲載

4月号(No.72)掲載

2月号(No.71)掲載

12月号(No.70)掲載

10月号(No.69)掲載

8月号(No.68)掲載

6月号(No.67)掲載

DVD

ろう者役のある作品

日本語字幕付き作品

 2008年2月号(No.77)掲載
善意の仮面 善意の仮面
ハーラン・レイン/著 長瀬修/監訳
464頁/現代書館 3,780円

 本書はろう者と聴者の関係がテーマ。多くの聴者は、ろう者を障害者としてとらえがちである。だが著者(聴者)は、手話やろう教育を障害の分野の問題として取り上げること自体を否定している。ろう者は手話に象徴される言語・文化的少数者なのか、それとも障害者なのか、そのどちらの見方のほうが首尾一貫し共感的なのだろうか。
 著者はろう文化研究の第一人者。本書も純粋に学術的に、ろう文化研究の発展に寄与することを願っている。国内では2008年4月に明晴学園が開校する。日本手話で教育する意義を再確認するのにもよいのでは。(MI)

交響曲第一番 交響曲第一番
佐村河内守/著 277頁/講談社 1,680円

 「バイオハザード」「鬼武者」などのゲーム音楽で有名な、全聾の作曲家の自叙伝。被爆二世として生まれ、高校時代からの原因不明のすさまじい偏頭痛から、完全失聴に至るまでの経緯と苦悩。幼少時から培っていた絶対音感が、聞こえなくなっても作曲を可能にしたが、今度はすさまじい耳鳴りが氏の肉体、精神を蝕む。重度の神経障害、破壊的な耳鳴り、その果てにある「闇の音」。そこに一筋の光となって届く、盲目の少女の声。複雑にからみあう著者の生そのものが、一つの交響楽となって読む者に届く。「運命」を感じずにはいられない書だ。(N)

沈黙のヒロシマ 沈黙のヒロシマ
仲川文江・尾崎孝/著 224頁/文理閣 3,360円

 もはや国民的な記憶となりつつある、8月6日。一瞬にして14万人以上の命を奪ったヒロシマ原爆。あの日耳の聞こえない人たちは、音のない世界で何を見て、どう生きてきたのか。本書は被爆したろう者9人からの聞き書きと、現状を伝える130枚以上の白黒写真を掲載した貴重な記録。本文や説明文には全て英訳がついている。
 著者の仲川さん(手話通訳者)は取材する過程で、ろう者のための慰霊碑建立にも関わることになった。2003年(平成15年)、被爆後58年経過して、県立広島ろう学校敷地に建立された様子も紹介されている。(O)

耳の聞こえない子がわたります 耳の聞こえない子がわたります
マーリー・マトリン/著 日当陽子/訳 矢島眞澄/絵
201頁/フレーベル館 1,470円

 主人公・ミーガンは9歳の女の子。耳が聞こえないけれど強くたくましく、なにごとも積極的。夏休み最初の土曜日、四軒となりに同じ年の女の子、シンディが引っ越してきた! 聞こえるけれどちょっと内気な彼女とすっかり仲良くなるが、サマーキャンプでひと騒動が!
 映画「愛は静けさの中に」でアカデミー主演女優賞を受賞したマーリー・マトリンの処女作。補聴器、手話、TTYと、アメリカの聞こえない人がいる家庭の様子が、自身の体験を交えて書かれている。「友達っていいな!」「こんな家族って素敵だな!」と思える作品だ。(N)

図書館革命 図書館革命
有川浩/著 333頁/メディアワークス 1,680円

 近未来の図書館と言論の自由を守る「特殊部隊」の活躍を描く、荒唐無稽なシリーズ、いよいよ完結編。主役は戦闘職種の女子隊員・笠原郁。任務達成のためにあの手この手、奥の手をひねりだし、都内横断、さらに東京から目的地へ、発砲あり流血あり恋あり涙あり、荒事ドンパチ、4組8名のカップルの行方はいかに?
 ジャンルで言えばSFアクション小説だろうか、キャラが立つのでぐいぐい引き込まれて読んでしまう。難聴の毬江ちゃんももう大学生。残念ながら今回登場はちょっとだけ。今春アニメ化だそうで楽しみだ。(O)

虹を見上げて 虹を見上げて
甲地由美恵/著 176頁/サンクチュアリ出版 1,260円

 ボディボードは海のスポーツだ。1mほどのボードに腹ばいになり、波に乗って技の美しさを競う。その競技で世界唯一、耳の聞こえないプロのボディボーダーとなった甲地さんの初の著作。祖父に「相手の想いを胸で聞け」と言われて育った話。幼稚園のときにつぼみがぽんっと花開くまでを見届けた話。耳の聞こえる人生か、聞こえなくても波乗りのある人生か、と選択を迫られた話。本当に大切なものは、目に見えない、耳にも聞こえないものだという話。などが、淡い海の色をしたページにたんたんと綴られている。元気がもらえる書だ。(MI)

見えなくても、きこえなくても。 見えなくても、きこえなくても。
大平一枝/著 安部まゆみ/写真
215頁/主婦と生活社 1,470円

 2歳で聴力を失い、40代で失明した梅木久代さん。生活苦から離婚、そして自殺未遂と絶望の淵に立たされるが、盲ろう者の仲間との出会いで第二の人生が開ける。
 そこで触手話のボランティアとして出会ったのが、京都・丹後の山里で農耕生活をする好彦さん。自然と共にある生活に誘われた久代さんは、次第に心を惹かれていく。
 二人のユーモラスなキャラクターのためか、「頑張れ!」と応援したくなる本。丹後の厳しくも豊かな自然に囲まれて暮らす二人の様子が伺える写真も豊富に掲載されている。(MI)

ハン☆パラ ハン☆パラ
岡田絵里香/著 武井誠/手話監修
190頁/ぶんか社 1,200円

 ろう女優の岡田絵里香さんがプロデュースした手話の本であり、「女子限定!!」になっている。女の子がナイショ話をするには手話がぴったりと言うだけあって、内容がちょっときわどいところがあってドキッとする。最近の若い子はあけっぴろげなんだ。それも時代の流れだと納得していいかも…。現に私の教え子である母娘の2人も、手話でヒミツの話をしているから。
 それはそれで良い傾向かもしれないが、やはり手話は動画でないとNMS(非手指)動作がつかみにくい。次はDVD版を期待している。でもそれだとリアルになるかな…。(M)

歌ではじめる手話入門 歌ではじめる手話入門
こどもくらぶ/編 夏川りみ/協力
56頁/同友館 1,995円

 「手話ソングこそ、手話学習に最大の効果がある」という考えから本書は作られている。今回選ばれた曲は「涙そうそう」。本書では、夏川りみさん自らが手話のモデルを務めている。夏川さんが歌詞の一部に手話を取り入れて歌っていることは、「いくお〜る」読者の皆さんもご存じでは。その他、手話の基礎のキソを学ぶ10のレッスンが付く。いずれも写真画像と文字の説明が付くのでわかりやすい。
 手話ソングには賛否両論あるが、手話単語が覚えやすいという話は良く聞く。学習の一つの方法として本書を活用するのもよいかもしれない。(N)

聴覚障害者とともに 一問一答 知っていますか?
聴覚障害者とともに 一問一答

デフサポートおおさか/編著
125頁/解放出版社 1,260円

 1997年に発行された「知っていますか? 聴覚障害者の暮らし一問一答」の内容を全面的に改訂。「耳が聞こえない」ってどんな障害? といった基本的な事柄から、聴覚障害者の学校や仕事、暮らしの状況、便利な機器、手話や手話通訳者の在り方まで、聴覚障害に関する幅広い内容をQ&A形式でわかりやすくまとめている。
 これから手話を学ぼうと考えている方や、既に学習中の方には最適な一冊。発行元のデフサポートおおさかの前身は、84年設立された草の根ろうあ者懇談会。ますますのご活躍を祈ってエールを送りたい。(N)

障害者の権利条約でこう変わる 障害者の権利条約でこう変わる Q&A
東俊裕/監修 特定非営利活動法人 DPI日本会議/編
152頁/解放出版 1,470円

 2006年12月、第61回国連総会で採択された「障害のある人の権利に関する条約」の具体的な内容等について、21のQ&Aと、5つのコラムでわかりやすくまとめている。障害によるあらゆる不平等を解消することが条約の大きな特徴。締結のために、国内でどのような対応が求められているのかを解説している。
 定義の中で、「言語」には手話も含まれることや、聴覚障害者の情報バリアフリーの視点で何が求められてるのか等、条約締結に尽力した国内の当事者団体や聴覚障害者自身による解説が記載されているのも参考になる。(O)

少年とストライカーと約束 少年とストライカーと約束
上井建治/著 浦本典子/絵 71頁/双葉社 1,050円

 2002年日韓ワールドカップ閉会から10日後の7月10日、ある新聞記者の個人サイトに掲載された日記をもとに書かれたもの。和歌山県の1人の聴覚障害を持つ少年とデンマーク代表トマソン選手の交流が織りなす、心温まるストーリー。国籍も言語も障害も超えた二人だけの心の会話、二人だけの約束。悩みや苦しみ、悲しみに直面し投げ出したくなるとき、この本は私たちみんなの指針となってくれる。心に常に持ち続けたい気持ちを思い出させてくれる一冊。
 イラストが多く、子どもたちへの読み聞かせにもピッタリだ。(O村)

空の言葉 空の言葉
心智庵/著 24枚/新風舎 830円

 「手のひらが輝いている時がある そうか この手が 何か伝えたいんだ」「あなたのココロの悩み しゅわーっと すっきりしますように」聴こえない著者が日常の中でふと感じる心の思いを、さりげない言葉で綴った詩に、やさしいタッチのイラストが描かれている詩画集。ココロがちょっと疲れた時に眺めていると、ほっとする気持ちになり、また明日も頑張ろう、と感じさせられる、ココロに心地よい1冊。
 24枚のポストカードになっているので、あなたの大切な人に好きなメッセージを贈ってみては?(K)

黄金のカラス 黄金のカラス
小神子眞澄/著 190頁/かもがわ出版 1,260円

 著者が高校卒業後、難聴が進んで大阪に出てくるまでの4年間を描く。著者は小学校5年時の突発性難聴で右耳失聴。小倉の会社に入社当時は電話も片耳で受け答え可能だったが、その後1年で左耳の聴力も急激に低下。仕事上のミスが重なり、いたたまれなくなり退社する。交際相手、家事手伝い先、洋裁学校でも気まずくなる繰り返し。
 母親はある日、そんな娘を冷たく厳しく突っ放す。自立を促された著者は、中途失聴・難聴者の団体があると知り、小倉から片道8時間かけて、大阪へ。著者に道を示す、黄金のカラスとの出会いが待っていた。(O)

手話通訳者の学舎 参政権 手話通訳者の学舎 参政権
(社福)全国手話研修センター/編
196頁/(社福)全国手話研修センター 2,000円

 参政権は、日本国憲法で定められた国民全てが平等に持つ権利。ところが聞こえない、聞こえにくい人にとっては、政見放送や街頭演説に手話や字幕が不十分。憲法にうたわれている権利が保障されていないという大きな問題がある。
 本書は手話通訳者の学習用に、聴覚障害者の参政権を巡る歴史的な状況及び現状をまとめた詳細な資料。今年も予定されている国政選挙を前に、参考にしたい。送料290円。(O)

【問い合わせ】日本手話通訳士協会事務局
 FAX: 03-5953-5883
 TEL: 03-5953-5882

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